リスニング(ヒアリング)の学習

英語の教材の中には、学習の初期段階からリスニングを行うものが少なくありません。 「聞くだけで英語耳ができる!」という教材、耐久レースのように長い時間英語を聞き流す教材、さらには寝ている間に聞いて学習するというオカルトな教材まで、本当に色々な種類があります。

では、そういった学習は効果があるかというと、結論から言うとほとんど効果がありません。 耳で聞いて覚える、ということは、言うほどラクなことでは無いからです。

リスニング教材がこれほど売れている背景には、小さな子ども向けのバイリンガル教育とごっちゃにして考えている人が多い、ということがあると思います。

人間が持つ言語学習のための聴力は、3~4歳を過ぎたあたりで止まると言われています。 4歳くらいまでは、耳で聞いた発音を正確に聞き取り、驚くほどの早さで言葉を習得していきます。

しかし、4歳を過ぎると音そのものを正確に聞くことができなくなり、新しい言語を習得することが難しくなると言われています。 そのため、バイリンガルの子どもを育てるためには、2歳から4歳になるまでの時期に、複数の言語を日常的に聞かせ、話をさせる環境を作ることが重要になります。

言葉を習得するということに関して、子どもはまさに天才です。 聴力が限られている大人が、小さな子どもと同じ方法で言葉を覚えようとするのは、とうてい無理な話です。

大人のリスニング能力を効果的にアップさせるには、音を聞き取りやすくするための準備が不可欠です。

リスニングのための準備とは?

リスニングのための準備とは、英文の流れ、発音、および文法を覚えることで、事前に英語を聞き取るための準備をしておくことを意味します。
これは、瞬間英作文英文読解の学習を行うことで得られます。

何故そうなるのか、ということは、日本語で考えてみると分かりやすいと思います。

たとえば、携帯電話で会話をしていて電波状況が悪い時などに、私たちは無意識のうちに聴力を補って聞き取っています。

「マサカ、アメガフルトワ オモワ………タ」

というふうに電話口から聞こえたものの、最後の方がよく聞き取れなかったとしましょう。 音が聞こえなくても、「まさか、○○するとは」という言葉の後は、「○○ない」「○○なかった」と続くことを知っているので、

「まさか、雨が降るとは思わなかった」

と言ったのだと分かります。 これは、実際には聞いていなくても、頭の中で補うことができたためです。 そして、なぜ補うことができたかというと、日本語のルールを知っていたからです。

逆に、人は自分が知らない言葉を聞くと、思わず「えっ?」という驚きの反応をしてしまいます。 これは、自分が耳で聞いた(と思っている)言葉が、頭の中に情報として存在しないため、聴力に全てを頼らないといけないからです。

初めて会った人から名前を聞いたところ、めずらしい名前だったため、何度も聞き直してしまったという経験はないでしょうか? 日本語でさえ、知らない言葉の組み合わせを聞き取るということは、とても難しいことなのです。

話を英語のリスニングに戻しましょう。
英語の基礎知識無しにいきなりリスニングから始めるということは、頭の中に聴力を補うものが全く無い状態で、ほぼ100%耳にたよって聞き取ろうとする試みです。

聞き慣れている日本語でさえ、知らない言葉を聞き取るのは困難なのに、聞き慣れていない発音や周波数を持った英語で、知らない単語や分の組み合わせをオンパレード状態で耳に流し込むというわけです。

これでは、効果が得られないのは当然で、英語に対して拒否反応を起こしてしまいます。

「英語耳」を身につける方法

現実にはまずありえない話ですが、リスニングだけを一生懸命やった結果、英語を正確に聞き取れるようになった人がいたとします。 いわゆる“英語耳”を身につけたということで、英語をほぼ習得したように思われるかもしれません。

しかし、この時点では、意味の分からない音の連続を聞き分けているに過ぎません。 「音を聞く」ということだけしかやっていないのですから、どういう意味なのかはまるで分からない状態です。 この奇跡的な“英語耳”に、はたしてどれほどの価値があるのか疑問に思います。

第一に、知らない言語をいきなり耳で聞き、正確に音を識別できるようになるということは、小さな子ども以外ではあり得ないことなのです。

最初からリスニングを学ぶという神ワザを、あたかも当然のように宣伝している英語教材の会社は、あなたの英語力を高めようとは決して考えていません。 魔法のようなキャッチコピーを使って、教材が売れればそれでよいのです。

では、「テキストを見ながらであれば、初めからリスニングの練習をしても良いか?」という疑問を持たれるかもしれません。 テキストを見ながらであれば、聞いた内容を目で見て確認できるので、耳だけを使ってリスニングするよりも容易に意味が理解できます。

しかし、この学習法には次のような問題点があります。

  • 文字を見ないと聞き取れないという、悪いクセがつく
    テキストに頼って意味をつかむことが習慣になってしまい、いつまでたってもテキストから離れられなくなる危険性がある。
  • 学習の効率が悪い
    限られたボキャブラリーと文法知識しかない状態でリスニングをしても、英語力はほとんど向上しない。 また、音楽プレーヤーなどをセットする必要があり、時間と手間がかかる。

やはり効果的な英語習得ということを考えると、テキストを併用しながらであっても、学習の初期からリスニングを行うことは望ましくありません。

最初は瞬間英作文のトレーニングを集中的に行うことで、話す能力(アウトプット)と同時に、聴く能力(インプット)も効果的に鍛えることができます。

瞬間英作文によって英語をある程度話せるようになったら、テキスト無しでリスニングを行うようにします。 すると、頭が耳をサポートする準備が整っているので、リスニングの能力がグングン上達するようになります。

リスニングに関するまとめ

■最初からリスニングを行うことのメリット・デメリット

メリット

  • てっとり早く英語を覚えられそうな気がする

デメリット

  • 知らない外国語を正確に聞き取ることはほぼ不可能なため、学習にならない
  • 「音」として聞き取ることが出来ても、意味は分からない
  • テキストを使用すると、目で見て理解するクセがついてしまう

■英語力をある程度付けてからリスニングを行うことのメリット・デメリット

メリット

  • 英語の知識が耳をサポートし、聞き取りやすくなる
  • 英語を聞き取り、意味を解釈できる力が身につく(本当のリスニング力)
  • 学習の初期段階では、瞬間英作文や語彙強化に集中できる(効率化)

デメリット

  • 遠回りの学習だと感じる
    → 実は近道!