書いて覚えることは必要?

英文読解を進めていくと、新しい単語・熟語・文法規則などが次々と出てきて、どうやって覚えればよいのか悩んでしまうかもしれません。

手順1から手順7の読解過程で、かなりの部分の英単語・文法が記憶に残りますが、これだけでは“記憶の定着”が今ひとつ不十分です。

そこで、未知の単語や文法などは「意識して記憶に留める」という作業が大切です。 そう聞くと、ノートなどに書いて覚えようとする方が非常に多いですが、実はこの方法にはデメリットこそあれ、メリットはほとんどありません。

英語の新しい知識を覚えるためには、ノートに何度も書いたりする必要はありません。

たとえば、“association”という単語のスペルを覚える場合を考えてみましょう。 まず、associationという単語をノートに10回書くとすると、個人差はありますがおおよそ1分の時間が掛かります。

次に、目を閉じて、a-s-s-o-c-i-a-t-i-o-nという風にアルファベットを頭の中に思い描きながら順番に綴っていき、これを10回繰り返します。 または、単語を声に出して10回唱えてみます。 どちらの方法も、ノートに書いた場合に比べて半分以下の時間で済むことが分かると思います。

時間だけではなく、記憶にどれくらい定着しているかということが重要ですが、その点でもノートに書くことではあまり良い結果が期待できません。

書いて覚えようとする場合、“書く”ことに意識が集中してしまい、肝心の“記憶する”という作業がおろそかになってしまう場合が多いのです。 また、ノートにたくさん字を書くと、それだけで勉強したような気持ちになってしまうのも、あまり良いことではありません。

一方、頭の中で英単語を繰り返し思い描いたり、声に出して唱えたりする場合、意識は“記憶する”ことに集中できます。 結果として、書いて覚えようとするよりも記憶に深く定着することになります。

英語を覚える際に書くことが習慣になっている方は、少しずつ書かないで覚える習慣を付けることをおすすめします。 書かないで覚える方法としては、前述のように「頭の中に思い描く」という方法と、「声に出して唱える」という方法の2つがあるので、自分が覚えやすい方法で行うと良いと思います。

また、2つを同時に行う方法、つまり「頭の中に思い描きながら、声に出して唱える」というのも非常に効果がある方法です。

英語を書かずに記憶していくことで、英文読解の“量”を効率的にこなせるようになります。 とはいえ、「新しく覚えた単語・熟語・文法などをすぐ忘れてしまう」と心配に思われるかもしれません。

しかし、ここでも“質”より“量”を優先するということを思い出してください。 最初から、知らないことを完璧に覚えていく必要はありません。 量をこなしていく中で、記憶の定着は確実に進んでいくからです。

記憶方法の比較

<ノートに書いて覚える>
  • 時間が掛かる
  • 勉強した気持ちになる
  • 記憶には定着しにくい
<ノートに書かずに覚える>
  • 時間が掛からない
  • 量をこなすのに最適
  • 記憶に定着しやすい

効果的にノートを使う方法

英語を記憶するための手段として、ノートを使う必要はありません。 しかし、ノートを使うのに適している場面もあります。

ノートは、覚えた知識を整理・分類するために使うと、大きな効果を発揮します。

英文読解の学習では、様々な英単語や文法が登場します。 新しい情報が頭の中にどんどん入ってくると、情報がごった煮のような状態になります。 このことは、質よりも量を優先し、細部よりも全体的な意味の把握を重視するという目的からすれば、ごく自然な事です。

ただ、情報がばらばらの状態で頭の中にあると、いざ思い出そうとする際に中々思い出せず、知識としてはまだ弱い状態です。

そこで、覚えた情報を分類するためにノートを活用します。 漫然と頭の中に散らばっている情報を、関連を持ったグループごとに分けることで、記憶と理解を深めることができるのです。

英単語を分類するためのノート術

記憶を分類・整理する

ノートに書き出す目的は、記憶を分類・整理することです。

分類の仕方は人によって全く違ったものになりますが、どのように分類しても構いません。 情報を自分で関連付けて覚えることが記憶と理解を促進するのです。

情報を分類してノートに書いていくことの効果は、『人生に奇跡を起こすノート術(出版社: きこ書房)』という本にも詳しく解説されており、科学的にも実証されています。

英文読解を進めていくと、膨大な量の情報が頭の中に入ってきます。 その時点では、“意味が無く重要でない情報”として、すぐに記憶が薄れてしまいます。 しかし、あなた独自の方法で知識を関連付けることによって、“意味のある情報”としてしっかりと記憶に残るようになります。

では、知識を整理して書き出すのは、どれくらいの頻度で行えば良いでしょうか? それは、思いついた時です。「思い付いた時って、何かいい加減だなぁ」と思われるかもしれませんが、これが1番良いのです。

たとえば、英文の中に“reply”という単語があり、「返事をする」という意味であることが分かりました。 するとあなたは、「同じ意味で、“answer”という単語もあったなぁ」と思い出すことができたとします。 そんな時は、すかさずノートを開いて、

返事をする → reply、answer

というふうに関連を書いておくのです。

これは、必ずしもノートに書く必要はなく、テキストに直接書き込んでしまっても構いません。 テキストに書く場合は、“reply”と書いてあるところの脇に、ペンで“answer”と書いておきます。 こうすることで、再びその部分を目にしたときにreplyとanswerを関連付けることができます。

情報を分類して整理する際には、類語辞典がとても役に立ちます

。 たとえば、reply(返事をする)という単語を覚えたときに、「返事をする、という意味の単語が他にもあったような気がするけど、何だったかな・・」というように思い出せないこともあります。 せっかく頭の中の知識を関連付けて記憶を定着させるチャンスなのに、これは非常にもったいないことです。

そんな時、類語辞典があれば悔しい思いをしなくて済みます。 類語辞典は、似た意味の英単語や英熟語を調べるための辞典です。 “reply”で類語辞典を引くと、似た意味の単語が全て見つかり、その中には当然“answer”という単語も含まれています。 こうして、answerという単語を再発見することが出来、replyと関連付けて記憶に残せるのです。

類語辞典は、英文読解の学習で必ず必要な道具ではありませんが、記憶を整理し、英語を関連付けて覚えるための強力なツールです。 本気で英語力を伸ばしたいという方には、類語辞典を持つことを是非おすすめします。

もし、普通の英和辞典の代わりに電子辞書を使う方は、類語辞典を収録している電子辞書を選ぶようにすると良いでしょう。

英単語を覚えるときは優先順位を付けない

英文読解をしていると、様々な単語や熟語に出会います。 日常で良く使うような単語もあれば、中にはあまり使わないと感じる単語もあります。

しかし、「あまり使うことはなさそうだ」と感じた単語であっても、他の単語より重要度が低いということではありません。 『速読速聴・英単語 Basic 2400』のような市販テキストに掲載されている英語は、ほぼ100%重要なものばかりです。

重要か重要でないかという判断はせずに、全ての単語・熟語を分け隔てなく覚えようという心構えが大切です。

もちろん、全てを完璧に覚えるということではありません。 事前に重要・重要でないといった優先順位を付けないことが大事なのです。

「覚えなくても良い英語」というのも確かに存在します。 それは、あなたが日本語で使うかどうかによってのみ、判断できます。

たとえば、形而上学(けいじじょうがく)という意味の“metaphysics”という英単語があります。 この単語は、日本語の形而上学という難しい言葉に馴染みがない人は、無理に覚える必要はないといえます。

また、英語を母国語とする人の中でも、専門知識を持った一部の人しか知らないような医学用語、法律用語などの言葉も、(専門分野の人を除いて)覚える必要はありません。

逆に言うと、それ以外の言葉(つまり、あなたが日本語で使うことのできる言葉)は、英語でも全て覚えることに意義があります。 日本語で分かる言葉を英語で言うことができなければ、英語力は日本語力に遠く及びません。 つまり、そのような状態にある限り、英語を流暢に話すことなどできるはずがないのです。

そう考えると、学習の過程で「重要な単語、重要でない単語」という区別を付けることに、あまり意味が無いことが分かります。 比較的難しいと思われる、日常であまり頻繁に使わない言葉・表現も、いつかは覚えなければなりません。

英語は、数学や物理のように簡単な概念から順番に学んでいかなければ理解できないものではありません。 いつかは覚えなければならない単語は、後回しにするよりも、早い段階で覚えてしまった方が良いのです。

語彙力は英語力の根幹をなすものなので、単語を覚えれば覚えるほどあなたの英語力は高まります。 どんな単語であっても、それを覚えることでプラスにはなってもマイナスになることは決してありません。

英文読解の学習では量をこなすことが大事なので、全ての単語を完璧に覚えながら進めていく必要はありません。 しかし、英文の中で使われている単語を見たときに「覚えなくてもよさそうだな・・」と考えてしまうと、脳のスイッチがOFFになってしまい、全く記憶に残らなくなってしまいます。

出てくる単語は基本的に全て覚えるべきということを常に意識することで、学習の効果はかなり違ったものになります。

英文の中で難しそうな単語が出てきたら、「英語力を伸ばすチャンスだ!」と考えて覚える努力をしましょう。